外大西０２０２００１００＝５
両 洋０３１００５０１Ｘ＝１０
（外）松岡、佐藤−平野
（両）横垣、光山−菊地、吉松
３塁打＝佐藤（外）、２塁打＝佐々木（外）、光山、菊池（両）
「松岡、佐藤の継投がピタッと決まれば、外大西の連覇は間違いなし」と大会展望に書きました。しかし、今日は、それが決まりませんでした。
バックネット裏にいる他校の偵察部員たちも、「松岡と佐藤、どちらが崩れることはあると思っていましたけど、２人とも崩れるとは思いませんでした」というのが、今日の試合の感想でだったようです。２人とも崩れては、勝てません。
先発の松岡君は、初回、２番にヒットを打たれましたが、３、４番を遊ゴロ、三振に打ち取り無難なスタートだったと思います。しかし、「あれ？」と思ったのは、もう一つボールに勢いがないこと、そしてストレートの球速が１２５〜１３２までともう一つ上がっていないことでした。
松岡君の場合、常時１３０の前半は出るはずなんだが・・・、松岡君、なんか元気がないなあと思いました。
２回表に外大西が２点を先制します。試合展開としてはいい流れでしたが、その裏、早くも松岡君に対する嫌な予感が的中します。
先頭の５番菊地君にセンター前ヒットを許し、６番が送りバント、７番は遊ゴロで２塁ランナーは動けませんでした。ところが、８番のセカンドゴロでファーストが飛び出していたのに、松岡君のベースカバーが遅れたのです。慌てて１塁へ走る松岡君にセカンドが送球しましたが、これが逸れ、ベンチの方まで抜けていきました。２塁走者がホームまで返り、打者走者は３塁へ達しました。
そして、９番横垣君にライト前へ同点打を打たれると、あとは死球、四球、四球。逆転の３点目は、なんと押し出しで与えてしまったのです。
これまでボールが少し甘くなって痛打される場面は甲子園や近畿大会で見てきましたが、これほどまでにコントールに苦しむ松岡君は初めて見ました。
もともと、松岡君は、球速、球威とも、すごみがあるという投手ではありません。低めにていねいにコントロールして、打たせて取るタイプです。それは松岡君もよくわかっているのでしょう、このイニングも懸命に腕を振って低めに投げようとしていました。
しかし、左足は大きく踏み出すものの、軸足が使えていませんでした。そのため、上体が突っ込み、ボールが低くはずれるという状態に陥っているように見えました。
３回も、先頭の５番菊地君にレフト前へ打たれると、次は、ヒットエンドランのセカンドゴロをエラー。ネット裏では、「西高には珍しいなあ」という声が聞こえました。次の打者に２球ボールを続けたところで、上羽監督は、松岡君をレフトへ回し、佐藤君をマウンドへ送りました。
佐藤君は、その回こそ、併殺打の間に１点を失いましたが、４回表には外大西が２点を加えて同点に追いつきます。佐藤君も、４，５回はバントヒットを許しましたが、盗塁死もあって、ともに３人ずつで切って取りました。外大西としては、「よっしゃ〜、逆転するぞ」という気分になるところですが、私は、逆に不安でした。
佐藤君は１年の秋から投げており、私は、すでに３０試合近く彼のピッチングを見ています。そこで感じていたことの一つは、得意のスライダーが切れて三振を取った次か、その次の次のイニングは危ないということでした。
この試合も、４、５回で三振を３つ取りました。見た目には「好調」ですが、佐藤君の場合、そこに落とし穴があります。キレのよいスライダーで三振が取れて気分がよくなると、とたんに急いだフォームになってしまい、大事なタメが作れなくなるのです。タメが作れないから、得意のはずのスライダーが微妙にはずれます。得意のスライダーが外れると、ストレートか、カーブでストライクを取りにいきます。それを狙われると、ますます窮地に陥る。こんな場面をこの２年間に何回見たでしょうか。
６回がまさにそうでした。先頭の７番にレフト前へ打たれると、次の８番からフォームを急いでしまいます。案の定ボールが外れるようになり、ストライクを取り行ったボールを打たれてます。ライト前、ライト前、四球、四球、ライト犠牲フライ、ライトオーバー２塁打、レフトオーバー２塁打にエラーも重なり、一挙に５点を奪われてしまいました。
もちろん松岡君や佐藤君に、どんな事情があったのかはわかりません。チームでは、毎日、実にいろんなことが起こりますし、高校生だけにプライベートの問題も大きく影響するでしょう。ヒジや肩の痛みとか、捻挫、指のケガなど身体面でも、いろんなことが起きます。そういう裏の事情まではうかがい知れませんが、ネット裏から見ている限りでは、まさかの松岡君と、佐藤君の弱点が出て、そこへバットの振れる選手が何人かいる両洋打線が襲いかかったというのが、今日の試合だったと思います。
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